物事そのものは無色透明です。それに価値や意味を色付けするのは、一人ひとりの私たちです。

マーケットの動き、情報も無色透明です。それに意味づけするのは私たちです。そして人は、物事を歪曲・省略・一般化する傾向があります。これを認知バイアスとか認知の歪みとか呼びます。

認知行動療法のパイオニアの一人であるバーンズ博士は、認知の歪みのパターンを10個挙げています。これからしばらくこの10個のパターンを見ていきたいと思います。

まず一番有名なのが、白黒思考と呼ばれるパターンです。物事を白か黒かの二者択一の選択で判断する傾向です。悪い意味での完璧主義とも言います。職場でありがちなのが、一度失敗しただけで、あるいは一度上司に叱られただけで、自分は仕事に向いていないと判断してしまうパターンです。少しの間違いも不完全さも自分で認められないと、このような白黒思考に陥ってしまいます。

しつこいようですが、物事そのものには色は無く、人がそれぞれの立場からの価値判断、意味づけをしているに過ぎません。物事に色は無いということは、言わば全てがグレーということなのに、文字通り白黒思考は、それに無理やり自分で、白か黒かを当てはめてしまうということです。

グレーという意味は、世の中には完璧にできる人も、完全にだめな人いないし、人生そのものも、うまくいく時もうまくいかない時もあるという意味も含みます。また、そもそも失敗や叱られること自体も、別に悪いこととは限らず、悪いこと=黒と決めつけることも価値判断であるということです。失敗や叱られることも、そのものはグレーなのです。

マーケットの動きや情報も、それで全てが決まるわけでも、全てに影響するわけでもないのに、黒か白かを判断しがちになります。また利益が白、損失が黒というわけでもありません。そう価値判断するのは自分自身です。全てがグレーだと知っておけば、平常心でトレードにも立ち向かえるはずです。

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