今日は思考の話の続きです。みなさん、内発的動機づけと外発的動機づけという言葉を聞いたことがありますか?以下Wikipediaより

「内発的動機づけとは、好奇心や関心によってもたらされる動機づけであり、賞罰に依存しない行動である。外発的動機づけは、義務、賞罰、強制などによってもたらされる動機づけである。内発的動機づけに基づいた行動は行動そのものが目的であるが、外発的動機づけに基づいた行動は何らかの目的を達成するためのものである。」

たとえば、好きなゴルフを趣味でやるのは内発的動機づけであり、好きでもない仕事をお金のためにやるのは外発的動機づけになります。私たちの感情と思考の話に則して言うと、内発的動機づけは感情の「好きか、嫌いか」に基づく行動であり、外発的動機づけは思考による「するべきか、せざるべきか」に基づく行動である、ということになります。

目の前のケーキを食べてしまうのは、「好き」に基づく内発的動機づけで、それをダイエットのために我慢するのは、「健康な身体を維持したい」という目的のための外発的動機づけということになります。モチベーションの理論では、子供に勉強をさせたり、部下に仕事をさせるのに、外発的動機づけに基づくのではなく、なるべく内発的動機づけに持っていくのが望ましいと言われます。「好き」でやっている内発的な人と、「好きじゃない」のに「叱られないために」とか「クビにならないために」やっている外発的な人では、「やる気」は違うわけです。

内発的動機づけの状態は感情と思考が一致している状態、外発的動機づけの状態は感情と思考が一致していない状態であり、前者の方が「やる気」が高いのは当然ということになります。ゴルフのために早起きするのは辛くないのに、仕事のために早起きするのは苦痛なわけです。

一方で、外発的動機づけが一概に悪い訳ではないとも言われます。きっかけが外発的でも、途中で内発的に転じる可能性があるからです。たとえば子供にバイオリンを習わせるのに、最初は嫌々ながらで、練習すればお菓子を買ってあげるからと外発的動機づけで始めたとします。やがて練習しているうちに面白くなってきて、いつもの間にか内発的動機づけに基づき、自分から習いに行くようになるということが起きます。初めてのものに接する段階では、この対象が自分の欲求を満足させる対象なのか、そうでないのかはわからないわけですが、接しているうちに面白さがわかってきて、ポジティブ対象に転じるということが起きるということです。

気乗りがしない仕事も、始めてしまえば段々面白くなることもあるのも同じことです。こうして、最初はイヤでも、とにかく挑戦してみようということになります。上の人間は、下の人間に対して我慢してもやらせることが本人になると思って、我慢を奨励しがちになるわけです。

しかし何ごともバランスが重要です。思考で感情を上書きしたことが、最終的には感情が思考と一致する方向へと変化すれば、理想的なわけですが、感情と思考の不一致が長引いてしまうと、メンタルヘルスが損なわれてしまうことになります。

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