さて話は、「どうすればトレーダーとしての理想的な心理状態に達することができるか」というところに来ていますが、ここからは、マーク・ダグラス著の「ゾーン」(「勝つ」相場心理学入門)を参照しつつ、心理学的な立場からの解説を加えることで説明を進めて行きたいと思います。

「ゾーン」では、マーケットに関する次の5つの真実を受け入れるということが、重要視されています。

1 何ごとも起こりうる
2 利益を出すためには次に何が起きるかを知る必要は無い
3 優位性を明確にする一定の可変要素には、勝ち負けがランダムに分布する
4 優位性があるとは、あることが起きる可能性がもう一つの可能性よりも比較的高いことを示しているに過ぎない
5 マーケットのどの瞬間も唯一のものである

そして最後には「私は一貫した勝者である」という信念の確立が最終目標であり、そのためには次の副次的信念を積み重ねる必要があると言っています。

1 私は自分の優位性を客観的に確認している
2 私は全てのトレードでリスクを前もって決めている
3 私は完璧にリスクを受け入れている。あるいはトレードを見切ることをいとわない
4 私は疑念も躊躇もなく自分の優位性に従う
5 私はマーケットが可能にしてくれた勝ちトレードから利益をつかみ取る
6 私はミスを犯すことへの自分の対応を継続的に監視している
7 私はこうした一貫した成功の原理の絶対的必要性を理解している。したがって決してそれを破らない。

これらの内容の真偽や善し悪しに触れることはこの連載の趣旨ではありませんが、どうすれば、上記のような心理状態に自分を持って行くことができるかというのが、ここでのポイントになります。

そこで、NLP(心理学の一理論)のニューロロジカルレベルの概念を使います。ニューロロジカルレベルとは、人の意識の論理的な階層構造を言います。この 6 つのレベルとは、上から次のようになります。

1 スピリチュアル
2 自己認識(アイデンティティー、ミッション、使命)
3 信念・価値観
4 能力
5 行動
6 環境

上位のレベルは必ず下位のレベルに影響し、何らかの変化を起こしますが、逆に下位のレベルの変化は上位のレベルに影響を及ぼすこともありますが、必ずしもそうなるとは限らないと言われます。たとえば、「目上の人のことは尊敬しなければならない」という信念(レベル3)を持っている人が、目上の人から何か命令されれば、必ず言う通りの行動(レベル5)をしますが、一方で、命令通りの行動(レベル5)をした人が、「目上の人のことは尊敬しなければならない」という信念(レベル3)を持っているとは限らず、実は心の中では軽蔑しているかもしれないわけです。

ということは、トレーダーとしての理想的な「行動」を真に身につけるためには、「自己認識」や「信念・価値観」のレベルから変えていく必要がある、ということになります。

これからしばらく、このニューロロジカルレベルの話を続けます。



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